2009年7月4日土曜日

鉢の木 本店


鎌倉で精進料理のお店と言えば・・・
ここ、鉢の木さん。

精進料理でもカツオだしを使っていないところは珍しい。

不識庵の藤井まりさん曰く、カツオだしを使うことも本当の精進料理では、タブーだとか。忠実に守っていることが嬉しいですね。

今回は、鉢の木の中でも「精進料理の入門」コースの北条を頼んでみました。
一緒に食べに行ってくれた伯母は、色々食べて試せる様に・・・・と、一番贅沢なコース「あじさい」を頼みました。(感謝!)

コース内容は、「口取 炊合 温物 飯 汁 香物」と、上の写真の様なメニュー構成です。
と、一見シンプルですが、実は一つ一つすごくこっていて感動物でした。
ご飯は、五穀米、お汁はジュンサイのお味噌汁、お漬け物にがんもどきのお汁。
それから、左奥の器に注目しましょう。
左から時計回り(お料理の詳しい名前はわかりません)、お寿司をトロロ昆布で巻いたもの、枝豆塩茹、生麩のシジミ仕立て、カボチャの煮物、厚揚げの煮物、生麩、ししとう、こんにゃく、湯葉の?。。。。(細かいところは覚えていないです。スミマセン)

煮物一つとっても、ごった煮で一気につくったのではなく、食材一つ一つ別々に煮ているいるようで、隣の物は全く違うお味に仕上がっています。家ではつくれない特別な物でした。伯母の頼んだフルコース「あじさい」はこの倍の数のお皿が並び、それはそれは、贅沢な芸術作品のようでした。でも、正直なところ「北条」というコースで満足で、贅沢な至福のお食事でした。とってもよく味わいながら食べた性か食いしん坊の私でもちょうど良い量のお食事になりました。

全部写真に、おさめられなかったのだけど、下があじさいのお料理の写真です。

左の写真の他にも素敵な湯葉とお野菜の揚げ物やデザートがありましたが、話と食べるのに夢中で取り忘
れてしまいました。

社長の藤川さんのお話では、精進料理にはおもてなしの心を大切にしたものと修行のためのものがあるそうです。鉢の木さんは深いおもてなしの精進料理を楽しめますよ。

お食事が終わったところで、伯母が精進のお作法を教えてくれました。
以前、円覚寺さんのお食事会で教わったそうですが、そのお作法の美しさとエコなところにとても感銘を受けたので、紹介します。

お食事の時に出る沢庵を一切れ残しておきます。お食事が終わったら、お茶やお湯でまずご飯の入っていたお茶碗に注ぎます。お茶碗についている硬くなってとれにくいご飯カスなどがゆるまります。そこに、残しておいた沢庵を入れてをこそげとります。
お茶碗が終わったら、各小鉢へお湯を移し器に残っているお料理をキレイさっぱり落とします。小鉢が終わったら、他の小鉢へ、そして全部の器を沢庵で綺麗にしたら、沢庵の塩味の聞いたお汁を飲みます。水分のついているお茶碗や小鉢はすべてお懐紙(昔の人たちが普段から懐に入れて盛っている紙、お茶席などではお菓子をいただく時に使う)をうまくたたみ、お箸でキレイに拭き取り、お箸もお懐紙で拭き取ります。


漆のお茶碗や小鉢は大きい順に上に積み上げていき、この様になります。
その後に、布で包んで上の部分で縛り、そこにお箸を差し込んでしまいます。

そのまま食器棚に納めて、次の時の出番を待ちます。
食器は食べた人がお膳の上で、洗ったことになります。洗剤など、必要ありません。

お寺に行くと、布にくるまった漆のお茶碗セットが配られます。そして、自分たちで布を解き、お茶碗とお箸をお膳の上に並べます。お坊さんがお茶碗の上にお食事を配膳しにきてくれます。
お食事をしたら、各自でお膳の上で洗い、最初にセットされていた様に布でくるみ、次の人の為に準備します。

伯母は、こうも教えてくれました。
上のお作法は、お寺だけの方法ではなく、一般のお家にもああった、と。
伯母のご主人様の故郷は広島の奥地で今でも、昔の文化の残る農家だそうですが、「箱膳」という漆の箱に引き出しがついていて、漆のお茶碗が入っている物があるそうです。
家族のひとりひとりが自分用の「my箱膳」を持っていて、四角いので食器棚に気持ちいい程すっぽり収まり、お食事時になると自分の箱膳を食器棚から取り、お母さんにお膳に盛って貰って、食事をして、自分でお茶やお湯でお膳を洗って拭き取って、食器棚に片付けます。
畑に行く時もお弁当代わりに箱膳をもっていくそうです。

精進料理のお作法は、かつての日本では「当たり前」の行為だったんです〜☆

なんて、無駄のない美しい方法でしょう! 水も汚さないし、時間も場所も取らず、誰かがお茶碗を洗う必要がない。
そして、漆の食器は、修理しながら一生使えるそうです。

昔のことだけど、今の私たちのヒントになりそうで、何だかときめきました。

今日も楽しいお食事会でした。
伯母さん、楽しいお話をありがとう。



帰りに寄った八幡様には、蓮の蕾がたくさんありました。
蓮の花ももうすぐ見頃です。





鉢の木本店 
昭和39年より建長寺前で創業 
鎌倉の台所として親しまれる
電話:0467-22-8719
営業時間  11:30〜14:30(平日) 11:00〜15:00(休日)  
月曜定休
完全菜食(ビーガン対応)
精進料理(五葷不使用)
予算(ランチのみ)1,732〜5,000円

〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内7
TEL 0467-22-8719 FAX 0467-25-0829
http://www.hachinoki.co.jp/




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